大判例

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福岡高等裁判所宮崎支部 昭和63年(う)70号 判決

職権をもって調査すると,原判決は,医師の身分のない達山健が医師である被告人岡元と共謀の上,岡元において,原判示のとおり虚偽の各入院証明書兼診断書を作成し,これを他の関係書類とともに郵便局に提出行使して,原判示の現金を騙取した事実を認定した上,「法令の適用」の項において,該当法条を適用し,医師の身分を有する上記岡元が自ら診察しないで診断書を交付した医師法違反の罪と虚偽診断書作成及び同行使の罪は併合罪として処断しているけれども,虚偽診断書作成罪は医師が公務所に提出すべき診断書等に虚偽の記載をしたときに成立するものであり,また自ら診察しないで診断書を交付した医師法違反の罪はその所為をもって成立するところ,自ら診察しないで診断書を作成することはそれ自体診断書の内容に虚偽を記載することにもなるのであるから,上記は1個の行為で2個の罪名に触れるものであって,刑法54条1項前段のいわゆる観念的競合の関係にあると解するのが相当である(大審院大正5年1月27日判決・大審院刑事判決録第22輯第2巻71頁参照)。したがって,これについて,併合罪であるとした原判決の法令の適用はその点に誤りがあるといわなければならない。そして原判決はこれを併合罪として刑法48条1項,2項により医師法33条所定の罰金刑を併科した刑期及び罰金額の範囲内で処断しているため,これを刑法54条1項前段によって処断した場合と明らかに処断刑に差異を来たしているから,前記法令適用の誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであり,原判決はこの点で破棄を免れない。

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